2016年10月18日

店主の徒然日記

今度また季節の果物を買いに出なきゃならないな。もう乏しくなってきたし、その頃だな。そんなことを思い始めた頃に、父親からみかんの箱が届く。ぶっきらぼうな筆圧の濃い字で書かれた宛名には、「珈琲処ばうむ」と書かれてある。美味しいみかんだった。この店が在ったことの証だ。届いたよありがとう。と普通の声色で言いきれる自信がないから、今日は電話はやめとこう。ありがとう。


母親が携帯を変えるからバックアップを取ってくれ、と頼まれて写真を取り込んだら、少し前に逝ったチャトゥーという黒猫の、逝く前の写真がやたらと出てきて、動画もなかなかに出てきて、あー母親はこの時結構参ってたんやろうな、寂しかったんやろうな、と思って苦しくなった。少ししかない要領の大半がチャトゥーの写真やった。


じいちゃんが店に某ベーカリーで買った明太フランスとガーリックフランスパンを片手にやってきて、
「これ、半分くれ。半分やるから。」って言うてくる。僕は厨房でフランスパンを半分に切って、半分をじいちゃんに袋に入れる。「ほなな。」とじいちゃんは袋をさげてかっこよく去っていくけど、あとさ、せめて珈琲を飲んで帰ってくれたりしたら、かっこええんやけどな。


常連さんが差し入れてくれたケーキを、頬張ったのはいつだっけ。美味しかったな。僕らにとって、店を始めてから知り合えた人たちは、かけがえのない人たちだ。