元旦に集った実家で、父が急に僕が生まれた時の話をし始めた。それは雪降る美しい景色の中で、望まれて生まれてきたのだということだった。話を聞きながらどうしようもなく僕は泣いたのだけど、生んでくれてよかった、ありがとう、なんてまだ心から言えないその自分の未熟さに泣けたのだと思う。
生きるってしんどいことだなと思う。蛇の道だ。ここまでのことでも感謝しとることはたくさんある。でも、生んだのは親の勝手だし、生きることは、すぐに生んでくれてありがとうと言えるような簡単なもんでもない。それを言えるようになるための道が始まっとるようには思う。死ぬまでに心底からその言葉を言えるだろうか。
こういう葛藤が、逞しく、真っ直ぐであると誇れることなら、いいのにな。