今朝の青空と白い雲がとびきりきれいに見えた。自転車で通勤ながら、息をのむほどの雲と空の美しさに、首がとられて前を向けない。あれほど後ろを向かず前を向いていようと決めてたのに。
台風が来るからだろう。灰色の空、誰もいない通り、こうやって静かなのはこれから起こることの前触れだろうか。いつも、いつのときも、出来事は何かの前提となっていた。全体と関わりを持たない自然なんて、一つもないんだ。きっと空も今、バランスを欠いて、ひとしきり荒い呼吸を続けているのかもしれない。空の話なのに。
静かでも、相変わらず中華街は赤い。えらいところに店を構えたもんだと思う。それでもやっぱり、この場に愛着が湧いてくる。お客さんたちの顔が浮かぶ。彼らの憩いの場になるには、どう在ればいいのだろうか。今も迷うばかりで、答えも見つからない。
子供の頃、台風と聞けば妙にテンションが上がってしまって、それをおさえる方法も知れないから、公園に駆け出して空を見上げ、轟々とした雲の灰色の大群に「おー。」と感心していた。
台風はずるい。天国絵図より地獄絵図の方が見ていてワクワクしてしまう。そんな子供にとっては台風ほどワクワクさせられるものはないんや。
自宅の引っ越しを控える僕らに、まるで台風のように事が舞い込んでくるのだけれど、やれることを日々一つずつ。まずは襟足が伸びて、気持ち悪いので切ってやろうと思う店主でした。