2016年8月19日

店主失格


「顔が怖い、顔が怖い。」
何をやってもうまくいかない日に、友人がやってきて、カウンターに座って僕の顔を見てこう言うもんだから、余計に気が滅入って不安が止まらなくなった。
「3年経ったら、店閉めなあかんかもしらん。」
気付いたらそんな弱音を吐いてしまっていて、その暗さといったら、海の底に負けないくらいのものだったろう。彼が帰って、もうこの店にも来てくれなくなるだろうと思って、店主失格だとやけになって閉店後の店内に暗さを撒き散らしていたあの日から2ヶ月ほど経っただろうか。彼は2ヶ月の間に幾度か普通にやってきて、普通にカウンターに座って、いつもの珈琲飲んでる。今日なんか、初めてランチ食べに来てくれた。
そんな普通の姿に、泣けてきた。ありがとういちろーくん。ごめんないちろーくん。