いつどんな時も自分で在り続けるって、難しいことだ。自分の意志を通すことには勇気もいる。それが思わぬ形で現れる時もある。今の積み重ねが未来の一つ一つになるなら、その勇気を出すけれど、大抵は突然の出来事で、処理できるチカラも器量もまだない。そして困ったことに僕は忘れたフリをしてしまえる生き物でもある。
店を始めてから心配が多くなった。もっとも僕らこそ店をうまく回せず、心配されているのだろうけれど。ここに来てくださる方々も、生きる活動の最中にあって、いろんな時がある。カウンターで頭を抱えて珈琲を飲むすがたを見ることも珍しくない。僕には人生経験も乏しく、かける言葉も見当たらない。何かすることがいいことだとも思えない。できることは、心をかけることだけなのだ。
そういう意味でも、この店が珈琲や紅茶を一杯ずつ入れられるお店でよかった。その人1人分のお湯が沸くことから始まる。その時間がなんとも愛おしい。
時間が無さそうな人のお湯ほど、沸きずらかったりするのも、不思議なものだ。