おじいさん、おばあさんが店に来てくれた。もう歳だから、こんな騒々しい所には二度と来れないかもしれない。看板娘が肩で息をしてる。立て込んだオーダーをできるだけ集中して提供し、一呼吸ついてから注文してくれたたまごサンドを作ろうと二人で決めた。ずいぶん待たせるかもしれないけど、「一つ一つ丁寧に」。この店でやってきたことを見てもらいたかった。久しぶりにつくる手が震えた。看板娘もきっとそうだろう。来てくれた感謝の思いと、連れてきてくれたおばさんのことと、どうかこの店で憩えますようにと祈る気持ちとで混乱してた。
こんな時ほど写真なんて撮る頭も起きなくて、ひたすら目を向けるしかできなかったな。
「笑顔でな。」と言われたと看板娘から聞いた。三年目の店、しんどい今にこそ、笑う顔がより光るように在りたい。闇が深いときほど、光が明るく輝くように。
今日のことを僕らは忘れないと思います。おばさん、ありがとうございます。
