「少しでも店を長く続けて欲しくて」
そういって朝一に来て食べて持ち帰ってくれるお客さんに泣けた。いつでも彼らはさりげないし、大きい。感謝の気持ちがうまく伝えられない。
いつつぶれてもおかしくない。そう言いながら、そう見られながら、なんとか2年を超えた。もっと楽なやり方があるのに、って言われるけど、それは僕らの中からまだ生まれてこない。そのやり方にときめきがないから仕方ない。そのせいで周りにどれだけ支えてもらってきただろう。どれだけ心配かけとるんだろう。僕らはそれをどう返してゆけるんだろう。いつか誰かを支えられるような人間になれるんだろうか。情けないな。
いつでも厨房で泣き、いつでも厨房で立ち尽くす。この場所が好きだなと思う。この場所からお客さんを迎え、見送ることが。
今日は叔母がサンフランシスコからやって来た。新品のカッティングボードをもって。オープンから使ってたそれがボロボロになっとることを知るはずもないのに。なんでそれがわかるんやろう。ナポリタンが食べたかったのよ、ってご近所じゃあるまいし。もう次いつ会えるかわからんと思ってたからまた厨房で気持ちが溢れ、立ち尽くす。またその気持ちもうまく伝えられない。
こうゆう出来事の一つ一つが、僕らの糧になっている。僕らが僕らであることの、心強い支えとなっている。それが、この店らしさを築いてゆくんだと思うと、もう感謝しか見当たらない。